


なんとか船も欠航にならず、両島を訪ね、無事その日のうちに本土に帰り着くこともできました。
この日は。。。




メンバー一同、それぞれに湧き上がる思いのうちにあったことと思います。
せめてもの救いは、島からの眺望に思った以上に本土ほか隣接する島々が見晴らしよく見えたこと。
帰りの船に乗り合わせた方の中には、今後海外からのお客様を招致するインバウンド事業に携わっておられる方もおられ・・・今後の島の未来が、少しでも明るいものであって欲しいと切に願うばかりです。
では、その互選(5句)結果より★★★
★亭々選★
春暁の港に月の繊(ほそ)きかな 依子
情景が浮かびます。春暁は春の曙、春の朝のことのようですが高齢者ばかりの曙の港には漁に出る人は誰もいない。僅かばかりの月が港をぼんやりと照らす。その蕭条とした様がいいと思った。ほそいという漢字が出てこない。この漢字はよく表していると思う。
季語落椿がまさに消滅してゆく島を言い表している。ポトンと音がして一人居なくなる。その音が聞こえるようだ。
乗り降りの人無き港春寒し 依子
帰りの待合所に島の人がやって来た。おそらく滅多にない来客なのだ。客人との会話はこの短く限られた時間だけのこと。話している間だけは生きていることを確かめられる。たしかに春寒しだ。
すみれ咲き独り住ま居のまたひとつ 依子
菫ほどな小さきひとに生まれたし
漱石の句ですが、菫のようなひっそりとした島の暮らしは想像以上に過酷だろう。独り暮らしが増えたのか減ったのか、どちらにしても重い暮らしだ。
白波の向こうは伊予の山霞 朴生
燧灘は想像以上に広く、瀬戸内海と言えども水平線が見えたのには驚いた。遠く向こうは伊予、春霞で山々はさらに遠く見える。櫓や櫂が動力だった頃はなんと豊かな海であったことだろうか。
★朴生選★
倒れ木の谷へ向き合ふ若葉かな 亭々
穏やかな瀬戸内海だが、灘(広い海原)に出ると風の影響を強く受ける。波を蹴っていく快速船の揺れを思い出す。
かつて島の住民が植えてきた桜並木が大きく育ち、満開の花びらが春の空を覆っている。見事な風景だが、これを楽しむ島民も今では少なくなってしまった。
すみれ咲き独り住ま居のまたひとつ 依子
庭の石垣の隙間から芽を出し春を告げる可憐なスミレ花。今では住む人もなくスミレを愛でる人もいない。
春暁の港に月の繊(ほそ)きかな 依子
始発の列車・バスを乗り継ぎ、港に来た。初めての島へ渡る期待と少し不安な気持ち。「繊」の漢字の「ほそき」というルビが効いている。
桜鯛ぶつかる荒き潮かな 亭々
この辺りで捕れる桜鯛がいかに美味しいか・・・
それは、ちょうど波と波がぶつかるところで、荒波に揉まれ身が引き締まるから・・・とは、島人が語りくれしところを、うまく詠まれましたね。
島へ向かう船も、上下にうねり縦揺れが凄かった。
それを「船底をたたかせ」とは、高井神島へ辿り着くことが、いかに大変な航路であったかを実にうまく捉えている。
魚島へだんだん波の深くなる 亭々
人知れず咲くや篠塚八重椿 朴生
島の中腹にある篠塚公園に咲いていた見事な八重椿。
そこには原型を留めぬ篠塚古墳があり、島人に「篠塚さん」と呼ばれ親しまれて来たものの・・・
老齢化社会となった島の現在、島人達がわざわざそこを訪れる気配は薄く・・・そうした取り残され感を、うまく表現している。
白波の向こうは伊予の山霞 朴生
まさに島からの展望。
〜以上互選とその鑑賞でした〜
亭々さん朴生さんお疲れ様でした。。。
島人から鯛漁について貴重な話も聴けました。
依子コメント
この度は、朴生さんが事前に船の乗り継ぎ等調べて下さったお陰様で、スムーズに旅することができ、この場を借りて改めて感謝致します。また、それぞれに持ち寄りの酒の肴も素晴らしく(笑)楽しい大人の遠足気分に過ごせましたことも、本当に有難いばかりです。一草さんオススメの土生のホルモン屋「入舟」さんも最高でした。そして何より、それぞれに吟行ならではの生き生きとした句がたくさん生まれたこと、本当にまたひとつ良い思い出になりました。
今回行きた〜いと表明して頂きながらもご一緒できなかったメンバーの皆さんも、また是非ご一緒しましょうね〜♪


日頃、机上ではなかなか俳句が作れないという方でも、
吟行では、とにかく見たまま感じたままを素直に詠む練習をしていくような感じですので、
意外にポンポンと詠めたりします。
また、俳句を作らない普通の旅行だったら見落としてしまうようなことでも、
俳句を作るとなると、細やかに観察する心が芽生えますので、より旅が充実します♪♪♪
大人の遠足気分で気軽にご参加頂けたら嬉しいです♪♪♪
定例句会【じゃこむすびの会】(偶数月の第3木曜夜)も引き続きどうぞ宜しくです★☆★