芸予瀬戸内シトラス俳句吟行会☆下弓削秋祭編
去る2018年10月12日(金)〜13日(土)にかけて、
愛媛県は弓削島の下弓削神社秋祭に一泊旅吟させて頂きました。
両日共に好天に恵まれ、また弓削在住の俳号ゆげるさんの細やかなご配慮のお陰様で、本当に楽しく充実した二日間を過ごさせて頂きましたこと、
この場を借りてあらためてお礼申し上げます。。。
実は、この度下弓削神社の秋祭に行くことに致しましたのは、
下弓削神社の秋祭に、代々伝承されている『奴(やっこ)の踏み上がり』というのを、生で拝見する為でした。



少子化が進み継承が難しくなる中、島の中高生が本当によく頑張っておられました。




それでは、その他お祭の様子は、せっかくなので吟行句より。。。
今回は、依子・睡睡・ゆげるの3人が各自20句作り、後日メール句会を致しました。
まずはその互選(5句)結果より★★★
★ゆげる選★
波音を背(そびら)に島の夜宮かな 依子
海辺の宵宮での風情が伝わる。
祭見にピンクルージュの島の婆 睡々
祭見に来た老婆の気持ちの華やぎが、ピンクルージュの言葉で伝わってくる。
あれはこの家族であるか里祭 睡々
祭見物の人々の様子がほほえましい。
午後からは太鼓も間延び秋まつり 依子
午前中の喧騒から一転した、けだるい祭りの午後の一時が伝わる。
無口でもぐずらず子供神輿かな 睡々
子供神輿に仲間入りさせて貰った年少の子のひたむきさがほほえましい。
★睡々選★
大楠の下にだんじり眠らしめ 依子
猛々しい「動」の印象をもつだんじりが眠らされていることでかえってだんじりの躍動感や祭りで「起きた」時への期待が伺える。祭をよみながら、祭のない日常の時間の経過までよみこんだ一句。
島の子に戻り浜辺に祭あと 依子
「戻り」がとても効いている。ハレとケの境目が海と陸の境目である浜辺の光景と共鳴しているように感じた。
ゆかむかな祭りに寝覚めの子を負ひて ゆげる
子をかわいがるだけでなく、眠かろうと祭りをきちんと見せておきたい、ゆくゆくは伝統を継承していってほしいという願いも込められているのでは。実感のこもる一句。
夜も明けぬうちより島は秋祭 依子
「島」が効いている。「島」だから成立する。シンプルだけれどそうとしか言えない潔さの光る一句。
米寿なる師の君うたふまつり歌 ゆげる
祭はあらゆる世代が交わる場でもある。師のまつり歌を聞けるのも、師が米寿であることを知っているのも祭が、祭りに集うひとびとが地域に根差しているからこそ。ある一点をよんでいるようで祭のいろんな側面もよんでいる句。
★巫 依子選★
重力をゆがめ壇尻(だんじり)大廻し 睡々
だんじり廻しは、祭の見せ場のひとつでもある。そのだんじりが大廻しされる様を、重力をゆがめと大胆に表現することで、よりその迫力が臨場感を持って伝わってくる。
払暁(ふつぎょう)の沖へ手を柏つ島まつり ゆげる
あかつき、沖へ柏手を打つことに祭が始まるのも、海への畏怖を感じる島暮らしゆえ。
低頭の宵宮へ寄す波の音 睡々
祭の前夜に行われる宵宮。神事が始まり、参列者皆が低頭する際の静けさのうちに、寄せ来る波の音が聞こえくるのも海辺の祭ならでは。
祭見にピンクルージュの島の婆 睡々
娯楽がさほどあるわけではない島の暮らし。祭というハレの日、ピンクの口紅を差して見物に来ている婆の気持ちの華やぎが感じられる。
橋渡り担ぎに集ふ島祭 睡々
神輿を担ぐお手伝いも橋を渡って・・・という着眼が面白い。
敢えて島と言わずに秋祭ぐらいに留めておいた方が良い気もするが…。
推敲例)橋渡り担ぎ手集ふ秋まつり
〜以上互選とその鑑賞でした〜
続きまして、もう少しそれぞれの句よりご紹介♪♪♪
ゆげる 作
宵まつり山車(だし)の灯りのとほざかる
声がはりせし児もせぬ児もまつり歌
厄年の烏帽子に印神輿(しんよ)舁(か)く
少年の眼や涼やかに奴踏む
※推敲例)涼やか→爽やか(秋の季語)
睡々 作
後輩の汗拭ひやる島祭
「忘れ得ぬ味や」とジュース祭の子
里祭頭小さき巫女ふたり
壇尻の去年の轍(わだち)残しけり
※推敲例)残しけり→そのままに
巫 依子 作
里祭押し込めほら来い神輿振り
島の子の鎌髭奴(かまひげやっこ)秋まつり
石山を仰ぎだんじり廻しかな
秋祭紐結ひ直し結ひ直し
〜以上〜
日頃、机上ではなかなか俳句が作れないという方でも、
吟行では、とにかく見たまま感じたままを素直に詠む練習をしていくような感じですので、
意外にポンポンと詠めたりします。
また、俳句を作らない普通の旅行だったら見落としてしまうようなことでも、
俳句を作るとなると、細やかに観察する心が芽生えますので、より旅が充実します♪♪♪
吟行は出会いを楽しんでこそ★★★
こちら初心者大歓迎の会ですので、これからも・・・
大人の遠足気分で気軽にご参加頂けたら嬉しいです♪♪♪
定例句会【じゃこむすびの会】(偶数月の第3木曜夜)も引き続きどうぞ宜しくです★☆★
posted by Senju at 15:40|
◆気ままに十七音